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療養型病院に転院しました

二週間前に見学して気に入ったT病院に本日無事転院することが出来た。

朝八時に現在入院している病院に行き、お世話になった医師や看護師さんにお礼のあいさつをして、

長女と共に介護タクシーでT病院に向かう。

入院したのが真夏の8月9日。

その時の彼はふらつきながらも何とか歩いて診察室に行けて、

院内のドトールで一緒にミラノサンドを食べた。

退院できたのが初秋の10月18日、

今日の彼は鼻管栄養のカテーテルをつけ、ストレッチャーに横たわり病院を後にした。

久しぶりに外に出た彼は、冷たい秋風に触れてびっくりした顔をした。

「久しぶりに外に出られて良かったね。」

「秋になったんだよ。空気が気持ち良いね。」

私と娘は笑顔で夫に話しかけた。

正直に言って、こういった形の退院を素直に喜ぶことができない気持ちがある。

廃用症候群と認知症の進行ですっかり変わり果てた夫の姿を見ると、

悲しくも情けなくもあり、ついぽろっと泣きたくなってしまう。

そんな私を奮い立たせてくれたのは、今回の台風で家を失った人たちの言葉だ。

「家がだめになっちゃったけれども、命が助かって感謝しています。」

「こんな時に感謝の言葉が言えるなんて、えらいなあ」と心から感動した

そう! 今「どうしてこうなっちゃたのか。」なんてもやもやしている暇なんかないのだ。

これから夫がどうやったら快適な生活を送れるか、

これからお世話になる方たちと一緒に考えていこう。


10時に緑豊かな丘陵の一角にあるT病院に到着。

私と娘が入院の事務手続きをしている間に、夫はレントゲン等の身体検査を受ける。

一時間後、これからお世話になる4階のリハビリ中心の療養棟病室に夫を連れていく。

夫は4人部屋の窓際にお世話になることになった。

T病院は今までお世話になった急性期用病院よりこじんまりしている。

全体的にゆったりとした空気が流れていて、どんぐりを使った手作りのハロウィンの飾りつけに癒された。

お世話をして下さる看護師さんが優しくてきれいなので、夫は大喜び。色々話しかけている。

廃用症候群をぶっ飛ばすカギはお姉さんの笑顔にあると見た。

夫にとって8番目(!)の主治医となるK医師とこれからの治療方針について面談する。

まず、私が今までの経緯と現在の問題点を説明した後、

具体的にどのような治療をして欲しいか、希望を述べた。

今回の長い入院生活は私を精神的に苦しめたが、

結果的に今まで抱えていた葛藤を思い切って手放す勇気を与えてくれたと思う。

もちろん急に食べられなくなりやせ細って歩けなくなった事実を

そう簡単に受け入れられない気持ちが、まだ家族の私たちにくすぶっている。

6月にジョナサンの外食で笑顔でハンバーグをほうばっている夫の写真と

現在との違いがあまりにも大きすぎるからだ。

その一方で「嚥下機能のこれ以上の改善は望めません。」

とおっしゃる医師の言葉にも、耳を傾ける必要があると感じ始めた。

川に例えてみよう。

夫が患った若年性認知症という川は流れが激しかった。

川の流れに抗って薬を飲んだり生活改善をしても流れに押されて徐々に川下に近づいていく。

夫はもう河口に近づいているのだろう。

10年間の闘病生活で体力が尽きかけている。

元気そうにみえても肺の中はボロボロなのだ、

それでもまだ激しい川の流れに向かわせようとするのか。



現実の症状と家族の思いとのギャップに折り合いをつけるために、

取りあえず生活感のあるホームに戻れるために必要なリハビリをお願いして、

それが無理であれば現状を受け入れて、「寝たきりで生き続ける」ための延命措置はお願いしないことにした。


K医師は、夫の回復を遅らせている問題点の一つは経鼻栄養にあるとおっしゃった。

本人が経鼻カテーテルをとってしまわないように、手を拘束するので廃用症候群が発生する。

長期間の拘束が長引くにつれて、夫の目がうつろになって無気力になっているのが気になっていた。

鼻カテーテルは彼に似合わない。できれば除去してもらいたい。


私は次の順番で対応できないかお願いしてみた。

1 まず言語聴覚士に嚥下機能を調査をして口から食べられるか判定してもらう。
  
大丈夫であれば、口から食べるリハビリをしてもらい、成功したら鼻カテーテルをとる。

2 体力的、嚥下機能的に口からの摂取が無理であれば、胃瘻造設の手術をおこなう。
.
  胃瘻で栄養を補給して体力をつけてもらいながら、歩行や経口摂取のリハビリをして

  24時間の看護体制がある有料老人ホームに移れるようにする。
  
  胃瘻があっても普段は口から食べて、病気の時は胃瘻が利用できるので、ホーム側も受け入れやすい。

3 胃瘻手術も無理であれば、積極的治療はあきらめて、十分なケアと納得の大往生が期待できるK病院に転院する。

 
 医師は私たち家族の希望を理解してくれて、3か月を目安としたリハビリ計画を立ててみると言って下さった。

  そして私たちを安心させるためにか、こんなことをおっしゃった。

 「いや。実は私の母も、兄弟で相談した結果胃瘻をしたんですよ。

 私はもう胃瘻をしなくてよいと言ったんですが、兄弟の一人があきらめられないというので。

 後から後悔しないように、家族全員で良く話して納得されてから方針を決めるのが良いと思います。」

 看取りまでのプロセスに様々な選択肢があれば迷うのは当然である。

 家族が迷って途中で気持ちが変わるのはわがままでない、と言って下さるK医師の思いやりに感謝した。

 この段階に来ると、医師に期待するのは最新の医療知識より優しさや人間力なのかなと思う。


医師の説明が終わって、病室に戻った。

ちょうどお昼時間で、一人のご高齢の患者が言語聴覚士の指導を受けながら昼食を食べ、

その様子を家族が見守っていた。

「お父さんもこうやって皆と一緒にご飯を食べることが出来たらいいねえ。」

娘とその光景をうらやましそうに見つめてしまった。

「お父さんまた来るよ。それまで元気にしていてね。」

夫がちょっと寂しそうな表情をしたのを私も娘も見逃さなかった。

家からかなり遠くなってしまったが、

美味しい空気の中でリハビリに励む夫に会いに行くのがとても楽しみだ。

夫のお陰で新しい町や色々な素敵な人たちに巡り合えることに感謝したい。
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テーマ : 病気と付き合いながらの生活
ジャンル : 心と身体

コメント

No title

転院されたんですね。
体調を崩し、入院で一気に出来ない事が増える、ほんの数か月前までは普通にご飯も食べれたのに・・・
そう考えると、本当に怖いです。
でも・・・
きれいな看護師さんに話しかけるだんな様いいですね。
一人、病院に残されることを表情に出して寂しいと思う事。
何も思わず何も感じずではないですね。

No title

mihiro様
本当に入院が長引いた結果一気に進んでしまいました。
大変悲しいですが、他の方の例を見ても、徐々に進む時と、何かがきっかけで急に悪くなる時があるみたいです。
施設で長年穏やかに過ごせただけでも良かったかなと思っています。
これからもなるべく良いことがあることを願っています。
人生万事塞翁が馬ですよ。



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プロフィール

ルッコラ

Author:ルッコラ
ルッコラとバジルと走ることが大好きです。
家族は夫と娘二人と黒いフレンチブルドッグのラッキー君。
2009年に若年性アルツハイマーと診断された夫は、在宅介護と認知症専門病院の入院を経て、現在は有料老人ホームにいます。要介護4。食事は全介助。でも仲良く手をつないで散歩をすることができます。介護は初心者なので、どうぞ感想やアドバイスをお願いいたします。

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